
このNardisであるがRichie Beirach(Richard Beirach)が様々な位相で取り組んでいる。リッチィ・バイラークは1947年NYのブルックリンで生まれている。私とほぼ同年である。名前から推察すると北方ヨーロッパ系移民の血を引いているようにも思える。彼のBill Evansへのこだわりは彼のアルバム(discography)からも窺い知ることが出来る。ECMレーベルから発売されたリッチィの初リーダーアルバムEON(1974年11月NY)のなかでNardisはとりあげられている。楽器編成はRichie Beirach(P)Frank Tusa(B), Jeff Williams(Ds)のピアノ・トリオである。このトリオで翌年もう一枚(Methuselah)つくられている。が、目指しているところからするとEONのほうがより「内省的」であり3枚目となるSunday SongにおけるTusa(B)とデュオに至る方が自然のように思える。EONのNardisは意欲的であり挑戦的である。当然の事ながらコードやフレーズから感じられるものは眩いばかりの Nardisへの「愛」でありBill Evansへの切ない想いの咆吼のようだ。何度も何度も虚空に向かう「フレーズ:仮講線」はTusaのベースによって高められていく。それでも”失墜”していく様はおどろおどろしいまでのピアノ独特の空間を形創る。Evansが試みたように”憑依”され何かを超えようとするかのように、だ。そしてBeirachは美学的に云うならばNardisというabstract artを造形したのだ。
※このエントリィは2004-02-24に「はてなダイアリ」に書かれたものが転載されたものである。
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