2004-06-23

類的存在

Karl Heinrich Marx


動物はその生命活動と直接的に一つである。動物はその生命活動から自分を区別しない。動物とは生命活動なのである。人間は自分の生命活動そのものを、自分の意欲や自分の意識の対象にする。彼は意識している生命活動をもっている。〔人間は生命活動をもつものとして規定されるとしても〕それは人間が無媒介に融けあうような規定ではないのである。意識している生命活動は、動物的な生命活動から直接に人間を区別する。まさにこのことによってのみ、人間は一つの類的存在なのである。あるいは、人間がまさに一つの類的存在であるからこそ、彼は意識している存在なのである、すなわち、彼自身の生活が彼にとって対象なのである。ただこのゆえのみ、彼の活動は自由なる活動なのである。疎外された労働はこの関係を、人間が意識している存在であるからこそ、人間は彼の生命活動、彼の本質を、たんに彼の生存のための一手段とならせるというふうに、逆転させるのである。
     -経済学・哲学草稿(第一草稿 疎外された労働より抜粋)-
                     Karl Heinrich Marx
                    城塚 登・田中吉六 訳


カール・マルクスは人間は類的存在であると看破した。そして巨大なるヘーゲル哲学に挑む。ヘーゲル弁証法への深遠なる批判と止揚へ。


経済学・哲学草稿 (岩波文庫 白 124-2)経済学・哲学草稿 (岩波文庫 白 124-2)
城塚 登

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